GEN Z & CONSTRUCTION WORKPLACE
建設業でZ世代の若手が定着するために必要なのは、仕事や安全の基準を甘くすることではありません。変えるべきなのは、指導の内容ではなく「伝え方」です。
建設現場では、一つの判断ミスがけがや損害につながる可能性があります。そのため、危険な行動をその場で止め、厳しく注意しなければならない場面はあります。しかし、感情的な叱責や威圧によって本人を否定すると、「自分にはできない」と感じさせ、質問や相談をしにくい状態をつくりかねません。
この記事では、札幌・北海道を中心に建設業の採用支援を行う株式会社JOB SOLUTIONが、経営者へのヒアリングをもとに、Z世代との向き合い方、現場へ伝えたい指導方法、求人原稿・採用ホームページ・動画で入社後のギャップを減らす方法を解説します。

先に結論
「優しくしろ」では現場は変わらない。必要なのは理由まで伝えること
Z世代への指導で変えるべきなのは、安全・品質・時間・仕事への責任ではありません。なぜその作業が必要か、どの危険を防ぐのか、次の工程にどう影響するのかを言葉にすることです。
命令だけでなく、目的・危険・次工程への影響を説明する
できる仕事は任せ、判断の理由を聞いてから修正する
仕事・収入・教育・安全を具体的に見せてギャップを減らす
建設業でZ世代の採用・定着が重要な理由
国土交通省によると、2024年の建設業就業者は55歳以上が36.7%である一方、29歳以下は11.7%です。全産業の29歳以下16.9%と比べても若年層の割合が低く、将来の担い手確保と技術承継は一社ごとの問題ではなく、業界全体の課題になっています。
厚生労働省の第十一次建設雇用改善計画では、2022年3月卒の新規高卒就職者が建設業へ入職した後、3年以内に離職した割合は41.4%で、全産業より3.5ポイント高いとされています。採用人数を増やすだけでなく、入社した若手が仕事を理解し、技術を身につけられる環境まで考える必要があります。
参考:国土交通省「令和7年版国土交通白書・直面する課題」、厚生労働省「建設雇用改善計画(第十一次)」
Z世代という言葉だけで一人ひとりを決めつけない
Z世代と呼ばれる若手にも、性格、経験、家庭環境、仕事に求めるものの違いがあります。「最近の若者は打たれ弱い」「すぐ辞める」と一括りにすると、目の前の本人が何を理解し、何に困っているかを見落とします。
一方で、企業側が若手の価値観や指導方法に悩んでいることも事実です。労働政策研究・研修機構が紹介する企業調査では、若手の育成で「打たれ弱い」「価値観や勤労観が分からない」と感じる企業がある一方、企業側も育成時間や指導者の不足、早期離職を課題として挙げています。若手だけの問題にせず、伝える側の仕組みも見直すことが必要です。
参考:労働政策研究・研修機構「約半数の企業が指導を丁寧に行うことを意識」
Z世代から見た建設業の魅力と、選択肢から外れる不安
建設業を就職先として考える若手は、必ずしも後ろ向きではありません。LIFULL HOME’S Businessが紹介する調査では、建設業が就職・転職先の選択肢に入る理由として「給与が高そう、稼げそう」が52.7%、「手に職をつけたい」が43.8%でした。
インフラ整備や災害復旧など、地域と暮らしを支える社会貢献性も、建設業だから伝えられる価値です。若手が知りたいのは抽象的な「やりがい」だけではなく、その仕事で何が身につき、誰の役に立ち、将来の生活がどう変わるかです。
参考:LIFULL HOME’S Business「建設業界でZ世代の若者を採用するために」
| 建設業を選ぶ理由 | 選択肢から外れる不安 | 企業が伝える情報 |
|---|---|---|
| 手に職をつけたい | 難しそう、自分にできるか分からない | 最初に覚える仕事、教育期間、資格取得支援 |
| 収入を高めたい | 給与の上がり方が分からない | 初任給、3年後・5年後の年収例、評価基準 |
| 社会に貢献したい | 仕事の意味や完成後の姿が見えない | 施工実績、地域での役割、災害対応やインフラとの関係 |
| 体を動かして働きたい | ハードワーク、危険という印象がある | 一日の流れ、実際の休憩、安全設備・教育・ルール |
「休憩が多い」「休日を柔軟に調整できる」といった実態がある会社は、曖昧な働きやすさではなく、一日の時刻表や年間休日、希望休の相談方法として見せます。すべての会社に当てはまる表現を使うのではなく、自社で実際に行っている内容を公開することが重要です。

指導内容ではなく伝え方を変える5つの方法
1.「やれ」だけで終わらせず、仕事の理由を伝える
根拠のない命令は、作業の優先順位や応用につながりません。「この仕事は次の工程を予定どおり進めるために必要」「機械では対応できず、手作業だから時間がかかる」のように、目的と背景を説明します。
理由が分かれば、本人は単純作業を「無駄な仕事」ではなく、現場全体を進める役割として捉えられます。毎回長く説明する必要はありません。最初に目的、注意点、完了の基準を短く伝えるだけでも、受け止め方は変わります。
2.間違いを見つけても、最初から否定しない
ミスをしたくてする人はいません。指示と違う方法を取っていたら、まず「なぜそうしたのか」を聞きます。本人なりに効率や安全を考えた結果であれば、その意図を認めたうえで、見落としている危険や正しい手順を伝えます。
行動の理由を聞くことは、間違いを許すことではありません。考え方のどこまでが合っていて、どこから修正が必要かを分けることで、同じ状況でも自分で判断できるようにする指導です。
3.「できた」だけでなく、助かった理由を言葉にする
作業が終わったら「ありがとう」「助かった」で終わらず、「先に準備してくれたから次の職人がすぐ入れた」「確認してくれたので手戻りを防げた」と伝えます。自分の仕事が現場のどこに役立ったかが分かると、役割と成長を実感できます。
4.できる仕事は監視し続けず、範囲を決めて任せる
一度任せられると判断した仕事は、目的、完了条件、相談してほしい場面を決めたうえで任せます。細かな方法まですべて指定して監視すると、本人が考える余地がなくなります。
放置するのではなく、任せる範囲と確認のタイミングを決めることがポイントです。主体性を求めるなら、本人が判断できる余白も一緒に渡す必要があります。
5.年下扱いではなく、一人の大人として接する
今の若手は、子どもの頃から多くの情報に触れ、年齢以上に社会や人間関係を見ていることがあります。株式会社JOB SOLUTIONでは、経営者へ「実年齢より幼く扱わず、一人の大人として向き合ってほしい」と伝えています。
これは若手の考えをすべて正しいとする意味ではありません。会社のルールと責任を説明し、本人の意見も聞き、互いに認め合い助け合う関係をつくるということです。
安全のための厳しい指導と、人格を否定する叱責を分ける
建設現場では、危険な行動を見つけた瞬間に大きな声で止めなければならないことがあります。ここを曖昧にしてはいけません。ただし、危険を止めた後まで感情をぶつけたり、胸ぐらをつかむような威圧的な行為を行ったりする必要はありません。
その場で行動を止めることと、落ち着いて理由を説明することを分けます。安全の基準を下げず、本人の人格も否定しない指導が必要です。
| 場面 | 伝わりにくい言い方 | 理由が伝わる言い方 |
|---|---|---|
| 危険な位置にいる | 「危ないだろ。何回言えば分かる」 | まず退避させた後、「ここは死角になる。接触を防ぐため、この位置から確認しよう」と説明する |
| 指示と違う方法を取った | 「勝手なことをするな」 | 「この方法にした理由を教えて」と聞き、意図を確認してから正しい手順と理由を伝える |
| 単純作業を任せる | 「いいから言われたとおりやれ」 | 「次の工程を止めないために必要で、手作業でしか進められない」と役割を伝える |
| 一人で任せる | 説明なく放置する | 任せる範囲、完了の基準、途中で相談してほしい条件を最初に決める |

歓迎会より先にランチ会。選択肢が相談しやすさをつくる
建設業でも、お酒を飲まない若手は珍しくありません。入社直後から参加を前提にした歓迎会を開くより、まずはランチ会にして、仕事以外の話ができる場をつくる方法があります。昼食代が浮くことも若手には分かりやすい利点です。
歓迎会を開く場合も、「ランチ会と飲み会のどちらがよいか」を本人に選んでもらえます。小さな選択権があると、自分の意見を言ってよい会社だと理解しやすくなり、その後の仕事の相談にもつながります。
企業側にとっても、自社の良さや社員の人柄を知ってもらう前に、行きたくない飲み会が理由で距離を置かれるより合理的です。まず関係をつくり、その後に本人の希望を確認して誘います。
「優しくしろ」だけでは現場へ伝わらない
経営者が若手との関係に課題があると気づいていても、現場へ「もっと優しく教えて」とだけ伝えているケースがあります。それでは、職長や先輩は安全上どこまで厳しくしてよいか、具体的に何を変えるのかが分かりません。
経営側は、若手の傾向を示す資料やデータを現場へ渡し、「理由を先に伝える」「本人の意図を聞く」「任せる範囲を決める」など、行動として共有する必要があります。現場を知らない外部の人間が最初から正論を押しつけるのではなく、経営者と指導方法を相談し、経営側の言葉で現場へ伝える形が現実的です。
入社後のギャップを減らす求人原稿・採用ホームページ
若手の定着は入社後だけの問題ではありません。給与だけを大きく見せ、仕事の厳しさ、教育、安全、将来を説明しなければ、応募者が抱いたイメージと現場の実態がずれます。
企業の魅力を最大限に伝えることと、実態以上に良く見せることは違います。応募数だけを増やすのではなく、「この仕事なら続けられそう」「厳しい部分も理解したうえで挑戦したい」と判断できる情報を用意します。
- 入社時の給与だけでなく、3年後・5年後の年収モデルを示す
- 昇給につながる技術、資格、任される仕事を説明する
- 出社から退勤までの一日と実際の休憩を時刻で見せる
- 休日数だけでなく、希望休や家庭事情の相談方法を示す
- 未経験者が最初に覚える仕事と教育期間を説明する
- 教育担当者と、一人で任せるまでの流れを紹介する
- 安全装備、研修、朝礼、危険予知などの取り組みを具体化する
- 仕事の厳しさと、それを支える会社の対応を両方伝える
- 施工実績を通じて地域・インフラ・災害復旧との関係を見せる
- 応募、質問、現場見学から自分に合う入口を選べるようにする
建設業の採用ページに必要な情報は、建設業の採用サイトに必要な7つのコンテンツでも詳しく解説しています。ホームページが古く、現在の教育や働き方を反映できていない場合は、建設業ホームページのリニューアル判断もご覧ください。
流行の動画より、普段の関係と成長が見える動画
トレンドに合わせた動画は一時的に再生されても、会社選びに必要な情報がなければ採用と定着にはつながりません。無理にエンタメ化するより、社員の同意を得たうえで、普段の関係と成長を見せます。
会社の人間関係を見せる
社長が従業員から親しみを込めていじられる様子、先輩が若手へ声をかける様子など、演出しすぎない日常から関係性を伝えます。
成長と収入の変化を聞く
入社年数、最近取得した資格、資格によって任される仕事や給与がどう変わったかを、本人が公開できる範囲で紹介します。
現場へ押しつけず、経営者と伝え方を考える採用支援
株式会社JOB SOLUTIONは、初回から現場へ入り込み、外部の立場で「あれを変えるべき」「このやり方は古い」と押しつけることはしません。現場を知らない人間から一方的に言われても、受け入れにくいのは当然だからです。
まず経営者へ、Z世代と呼ばれる若手が仕事や指導をどう受け止めるのか、資料やデータを提供します。そのうえで指導方法を相談し、経営側から現場へ伝えてもらうことを大切にします。改善へ踏み込んだ提案は、ご相談内容と企業の状況に応じて行います。
聞けるだけ聞く
経営者だけでなく、可能な範囲で現場社員にも仕事、教育、資格、収入、会社に残る理由を伺います。
可能なら現場まで見る
言葉だけでは見つからない人間関係、安全への姿勢、仕事の進め方を確認し、会社の魅力を掘り起こします。
ギャップなく紹介する
良く見せるための脚色ではなく、実際の魅力と仕事の厳しさを整理し、納得できる求人原稿・写真・動画にします。
JOB SOLUTIONは、建設・現場職に特化した求人サイト「GATEN職」の求人広告代理店です。GATEN職には動画を掲載できるため、求人票だけでは分からない社員の表情、社長との距離、資格取得後の変化も伝えられます。詳しくはGATEN職の求人掲載・採用支援をご覧ください。
CONSTRUCTION RECRUITING SUPPORT
Z世代へ届く求人原稿と、入社後のギャップを減らす見せ方を。
現場の安全や厳しさを隠さず、仕事の意味、成長、収入、人間関係を具体的に伝えます。求人原稿、採用ホームページ、写真・動画、GATEN職への掲載まで、必要な施策をご相談ください。
建設業とZ世代の採用・定着に関するよくある質問
QZ世代には厳しく指導してはいけないのでしょうか?
安全・品質・時間・仕事への責任は、世代に関係なく明確に伝える必要があります。危険な行動はその場で止めたうえで、人格を否定せず、何が危険だったか、どの手順へ直すかを具体的に説明します。
Q「優しく教える」だけでは不十分ですか?
優しい口調だけでは、仕事の目的や改善点が伝わらないことがあります。理由、完了基準、危険、次工程への影響を言葉にし、できたときは何が助かったかまで具体的に伝えることが重要です。
Q建設業の求人で若手へ何を見せるべきですか?
初任給だけでなく、3年後・5年後の収入例、資格と昇給の関係、一日の流れ、実際の休憩、休日の相談方法、教育担当者、安全対策、仕事の厳しさと支援内容を具体的に見せます。
Q採用動画では何を撮影するとよいですか?
社員の同意を得たうえで、経営者と社員の普段の関係、入社年数、取得した資格、できるようになった仕事、収入の変化、一日の流れ、安全への取り組みなどを撮影します。再生数だけを目的にせず、応募判断に役立つ内容を優先します。
Q飲み会をなくした方がよいのでしょうか?
一律になくす必要はありません。入社直後はランチ会にする、ランチと飲み会から選んでもらうなど、本人へ選択肢を渡します。まず相談しやすい関係をつくり、その後に希望を確認して誘う方法があります。
Q現場の指導方法についても相談できますか?
経営者のご要望と現場の状況を伺い、若手の考え方に関する資料やデータを共有しながら相談します。外部から現場へ一方的に指示するのではなく、経営側と方針を整理し、社内で伝えやすい形へ整えます。
